「R言語」は、統計解析やデータの可視化が得意なプログラミング言語です。
最近ではAI(人工知能)の開発やビッグデータの解析に欠かせない言語として、幅広い分野から注目を浴びています。
そんなR言語に興味は持っているものの、「具体的にどんな言語なの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、以下の内容を初心者に向けて分かりやすく解説します!
- R言語とは
- R言語とPythonの違い
- R言語の特徴やメリット
- R言語でできること
- R言語の基礎文法
「R言語について詳しく知りたい!」「R言語を実際に使ってみたい!」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
R言語とは
R言語は、1993年にニュージーランドのオークランド大学で開発された、プログラミング言語です。
正式な名称は「GNU R」ですが、日本では「R言語(あーるげんご)」や「R(あーる)」と呼ばれています。
厳密に言うと、「R」は解析するための「環境(ソフト)」のことですが、明確に使い分けられているわけではないので、「R言語」として扱ってOKです。
そんなR言語は、統計解析のために作られた「S言語」をベースに、より効率的で使いやすい言語を目指して作られました。
もともとは大学での統計学の研究のために作られましたが、ビッグデータブームにより現在ではビジネスの現場でも広く普及しています。
現在は「R Development Core Team」という専門家チームによって、R言語のメンテナンスや機能拡張が続けられていますよ。
R言語とPythonの違い
R言語と同じく、データ分析や機械学習の分野で高い人気を誇るのが「Python」です。
2つの違いを表にまとめたので見ていきましょう!
| 比較項目 | R言語 | Python |
|---|---|---|
| 得意分野 | 統計解析 グラフ作成 | AI開発 アプリ開発 業務の自動化 |
| 汎用性 | 限定的 (統計解析に特化) | 高い |
| 処理速度 | Pythonに比べやや遅め | 標準的 (コードの書き方によって速くもなる) |
| 学習難易度 | 中~高 (統計学の知識も必要) | 低い |
| 主な利用者 | 研究者 学者 統計の専門職 データサイエンティスト | AI開発者 エンジニア 事務職 データサイエンティスト |
表からも分かるとおり、「データサイエンス」に携わるプロは、目的に合わせてこの2つを使い分けたり、組み合わせて使ったりすることが多いです。
単語の意味
データサイエンス:膨大なデータ(ビッグデータ)を科学的に分析・解析し、ビジネスの課題解決や将来予測などに役立つ情報や知見(インサイト)を抽出する学問・手法のこと
R言語とPythonどちらを学ぶべき?
「結局、R言語とPythonのどちらを学べばいいの?」と迷ってしまったときは、判断材料の1つとして以下を参考にしてみてください。
- R言語⇒データを深く分析して、結果をきれいな図表でまとめたいとき
- Python⇒分析データを使ってAIを作ったり、仕事の自動化をしたりしたいとき
データサイエンスの世界では、「R言語は学術・統計」「Pythonはビジネス・AI開発」に適していると言われていますが、実際にはそこまで明確な境界線はありません。
実際、Pythonが研究分野に使われたり、R言語が企業のマーケティング分析に使われたりすることも多いので、あくまで「それぞれ得意な傾向がある」程度に捉えておいてくださいね。
もし将来的にデータ分析のプロを目指すなら、最終的には両方を使い分けられるのが理想です。
「複雑な統計モデルの作成はR言語、そのモデルをシステムに組み込むのはPython」といった使い分けができると、活躍の幅もグッと広がるでしょう。
R言語の特徴とメリット
ここからは、R言語の特徴とメリットを紹介します。
オープンソースで誰でも無料で利用できる
R言語の最大の魅力は、オープンソースであり、誰でも無料で利用できる点です!
オープンソースとは、ソフトウェアの設計図であるソースコードを公開し、誰でも自由に利用・改変・再配布できる仕組みのこと。
さらに、R言語本体だけでなく、R言語をより使いやすくするためのツールである「RStudio」(現在はPosit社が提供)も、個人利用であれば無料で使えます!
統計解析に特化している
R言語は統計解析を得意とする言語です。
統計解析とは、統計学の理論に基づいて大量のデータを分析し、データに含まれるパターンや傾向を明らかにすること。
また、R言語は統計解析専用のパッケージが充実しています。
ちなみにパッケージとは、便利な機能や計算式をひとまとめにしたもの。
代表的なパッケージは以下の通り。
- dplyr:データの並び替えや抽出など、加工を楽にする
- ggplot2:きれいなグラフを作成する
- Quarto / rmarkdown:分析結果をそのまま報告書(レポート)にする
これらを使うことで、最先端の統計手法を簡単に実行できます!
ベクトル処理で大量データを一括処理できる
R言語には、大量のデータを一括で計算できる「ベクトル処理」という仕組みがあります。
ベクトルとは、同じ種類のデータが並んだ「データの列」のこと。
イメージとしては、Excelの縦1列に入ったデータを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
例えば、一般的なプログラミング言語では、100個のデータに計算をしたい場合、「1番目を計算、2番目を計算……」と1つずつ繰り返す命令を書く必要があります。
一方R言語なら、「この列(ベクトル)を計算する」という命令を1行書くだけで、すべてのデータを一瞬で処理できるのです。
この「まとめて処理する」仕組みのおかげで、膨大なビッグデータも効率よく、かつシンプルなコードで扱えるのがR言語の大きなメリットと言えるでしょう!
他言語や外部ツールとの連携が得意
R言語はC言語、C++、Java、Pythonといった他の言語との互換性が高く、外部のソフトウェアやデータベースと連携しやすいのも特徴です。
外部のソフトウェアやデータベースとの連携は、パッケージを導入することで簡単に行えます。
本来なら、別のソフトからデータを移すために複雑なプログラムを書く必要がありますが、R言語ならパッケージを呼び出すだけでOK!
「外部にある最新データを取得し、分析して、使い慣れたExcel形式で共有する」といった一連の作業を一貫してできるため、ビジネスの現場でも重宝されています。
R言語のデメリット
多くのメリットがあるR言語ですが、デメリットもいくつか存在します。
R言語の習得・利用を考えている方は、ここでしっかり確認しておきましょう!
- パッケージの使いこなしに慣れが必要
- 統計解析の知識が求められる
- 他の言語に比べ処理速度がやや遅い
- 汎用性が低く、アプリ開発には向かない
R言語は「データ分析を極めるための専門ツール」であると理解しておくことが、挫折しないためのポイントです。
R言語でできること
ここからは、R言語でできることを紹介します。
高度な統計解析
R言語は統計解析のために作られた言語なので、短いコードで本格的なデータ処理ができるのが魅力です。
R言語が統計に強いと言われている理由は以下の通り。
- データ分析からグラフ化までスムーズ
- 世界中の研究者が開発した統計解析のパッケージが使える
- 最新の分析手法が早く取り入れられる
こうした「厳密さ」と「最新性」が評価され、以下のような分野で選ばれ続けています。
- 新薬の開発(治験結果の解析)
- マーケティング(市場調査)
- 学術研究・教育 etc…
ただのデータの集まりを「価値ある根拠」に変えられるのが、R言語の統計解析のすごさです!
機械学習
機械学習とは、コンピュータが大量のデータからルールやパターンを自動で学習し、未知のデータを予測する技術のこと。
機械学習は主に以下の用途に使われます。
- 売上予測(回帰分析)
- 顧客のグループ分け(クラスタリング)
- 異常検知 etc…
最近のAIブームもあり、「なぜその予測結果になったのか?」という根拠を論理的に説明することが求められています。
そして、そういった根拠探しは統計学の得意分野であるため、機械学習においてもR言語は切り離せない存在と言えるでしょう。
グラフ・図解の作成
R言語はグラフを使ったデータの可視化も得意です。
グラフ作成専用の命令が豊富に用意されており、わずか数行のコードできれいなグラフを描くことができます。
R言語で作れるグラフは以下の通り。
- 散布図
- 折れ線グラフ
- ヒストグラム
- 箱ひげ図
- 円グラフ
- 棒グラフ
- 数学関数グラフ
膨大な数字の羅列もグラフにして見やすくすることで、改善点や外れ値(極端に他と違うデータ)が一目で分かります。
さらに、R言語のグラフは非常にデザイン性が高く、そのまま研究論文やビジネスプレゼンに活用できるのも大きなメリット!
また、グラフ作成に使われる「ggplot2」というパッケージを使えば、グラフのデザインをさらに細かく作り込めますよ。
テキストマイニング
テキストマイニングとは、テキストデータを単語に分割し、そこに含まれる有益な情報を引き出す技術のことです。
R言語を使えば、SNSの投稿やアンケートの回答といった「人の言葉」を分析して、以下のようなことができます。
- 感情分析
- SNSの投稿やレビューが「ポジティブ」か「ネガティブ」かを判定
- トピックモデル
- 大量のニュース記事などから、「どんな話題が含まれているか」を自動抽出
- 頻出語の可視化
- よく使われる言葉を大きく表示する「ワードクラウド」や、単語同士のつながりを図解する「共起ネットワーク」を作る
なお、日本語の分析には「RMeCab」といった専用のツールが必要です。
こうした技術は、商品への口コミ分析や、膨大なメール・議事録の要約といった、ビジネスのさまざまな場面で活用されています。
R言語の需要・将来性
結論から言うと、R言語の今後の需要と将来性は高いです。
その理由は以下の通り。
- ビッグデータ解析の重要性が増している
- データサイエンスやAI分野は将来性がきわめて高く、その原料となるビッグデータ解析への注目が高まっている
- 間違いが許されない現場での圧倒的な信頼
- 医療・金融・研究といった正解の精度が求められる分野では、統計分野においてR言語が最も信頼されている
- ビジネス現場での「根拠ある意思決定」の普及
- 経営層に説得力のあるデータを示す「データサイエンティスト」の需要は、ビジネス現場でも拡大し続けている
R言語は最新の分析手法をいち早く取り入れられます。
よって、統計学が存在し続ける限り、R言語が廃れることもないでしょう。
R言語の環境構築
R言語を利用するには、使用しているパソコンに実行環境を構築する必要があります。
具体的には、計算するための「R本体」と、快適に操作するための「RStudio」の2つをインストールすればOK。
R本体は「CRAN」の公式サイトから、RStudioは「Posit社」の公式サイトからダウンロードできます。
R本体だけでも動きますが、合わせて「RStudio」もインストールしたほうが入力が楽になり、グラフの表示やデータの管理が劇的にスムーズになりますよ。
R言語の基本文法
「実際にR言語のコードを書いてみたい」という方に向けて、ここからは初心者が覚えておきたいR言語の基本文法を紹介します。
変数
R言語の変数は、数値や文字列などのデータを一時的に保存しておくためのものです。
Rでは、変数に値を代入するときに「<-」を使うのが一般的です。「=」も代入に使えますが、Rのコードでは「<-」が広く使われています。
変数名 <- 値x <- 10「x」という変数に「10」を代入する
#から後ろはコメントとして扱われ、コードの説明やメモを記述できます。
x <- 10 # xに10を代入
Rでは、複数の値をまとめて扱う「ベクトル」というデータ構造をよく利用します。
ベクトルは、c()関数を使って作成できます。c()は、複数の値を組み合わせるための関数です。
c(値1, 値2, 値3, ...)vec <- c("a", "b", "c")文字列「a」「b」「c」をまとめたベクトルを作成する
文字列を扱う場合は、" "(ダブルクォーテーション)や' '(シングルクォーテーション)で囲みます。
Rでは、このようなベクトルを使って複数のデータをまとめて処理できます。データ分析では、ベクトルを活用した処理が多く使われます。
データ型・データ構造
Rには、数値や文字列などの「データ型」と、データを整理して格納する「データ構造」があります。
代表的なものは以下の通りです。
| 種類 | 例 | 特徴 |
|---|---|---|
| numeric(数値) | 10、3.14 | 数値を扱う |
| character(文字列) | "Hello"、"タロウ" | 文字データを扱う |
| logical(論理値) | TRUE、FALSE | 真偽を表す |
| data.frame(データフレーム) | 表形式のデータ | 行と列を持つ表形式のデータ |
特に「data.frame(データフレーム)」は、複数のベクトルを列として組み合わせた表形式のデータ構造です。Excelの表に近い形でデータを整理できるため、データ分析でよく使われます。
例えば、以下のように複数のベクトルからデータフレームを作成できます。
name <- c("田中", "佐藤", "鈴木")
score <- c(80, 65, 90)
data <- data.frame(name, score)
この場合、nameとscoreという2つのベクトルを組み合わせて、名前と点数を表形式で管理できます。
条件分岐
条件分岐とは、条件を満たすかどうかによって、実行する処理を切り替える仕組みです。
Rでは、条件分岐に「if...else文」や「ifelse()関数」などを使います。
まず、if...else文は、「もし~なら〇〇、そうでなければ△△」というように、条件によって処理を分けるときに使います。
if (条件式) { 処理 } else { 処理 }x <- 10
if (x > 5) {
print("xは5より大きいです")
} else {
print("xは5以下です")
}上記は、「変数xの値が5より大きければ「xは5より大きいです」、そうでなければ「xは5以下です」と表示するコードです。
この例ではxに10が代入されているため、条件式x > 5がTRUEとなり、「xは5より大きいです」と表示されます。
続いて、ifelse()関数は、ベクトルの各要素に対して条件判定を行い、条件に応じた値を返すときに使います。
データ分析では、複数のデータをまとめて処理するときに便利な関数です。
ifelse(条件式, 真の場合の値, 偽の場合の値)scores <- c(50, 80, 40, 95)
results <- ifelse(scores >= 60, "Pass", "Fail")
print(results)
結果:"Fail" "Pass" "Fail" "Pass"上記は、60点以上なら「Pass」、60点未満なら「Fail」と判定するコードです。
50、80、40、95という4つのスコアに対して、それぞれ条件判定を行うため、結果は「Fail、Pass、Fail、Pass」となります。
関数
関数とは、複数の処理をひとまとまりにして、必要なときに繰り返し呼び出せるようにしたものです。
Rには、あらかじめさまざまな関数が用意されています。例えば、print()はデータを表示するときに使う関数です。
また、Rでは自分で関数を作ることもできます。これを「自作関数」と呼び、functionを使って定義します。
関数名 <- function(引数) {
# ここに処理を書く
return(結果)
}- 引数:関数に渡すデータや値
- 戻り値:関数が処理した結果として返す値
例えば、商品の価格を受け取り、10%の税率を想定して税込価格を計算する関数は、以下のように作成できます。
# 税込価格を計算する関数
calc_tax <- function(price) {
tax_price <- price * 1.1
return(tax_price)
}
# 関数を実行する
calc_tax(1000) # 結果:1100
calc_tax(2500) # 結果:2750
このコードでは、calc_taxという関数を作り、引数として受け取った価格を1.1倍しています。
calc_tax(1000)と記述すると、priceに1000が入り、計算結果として1100が返されます。同様に、calc_tax(2500)では2750が返されます。
このように関数を作っておくと、同じ処理を何度もコードを書くことなく、必要なときに繰り返し利用できます。
R言語の学習方法
R言語を効率よく学ぶなら、以下のステップで進めましょう。
- 「RStudio」を触ってみる
- 環境構築が終わったら、まずは数行のコードを書いて、簡単な計算やグラフ表示を試す
- 「Tidyverse」などの便利なパッケージを学ぶ
- Rを使いやすくしてくれる「Tidyverse」の基本(データの並び替えや抽出)を優先的に学ぶ
- グラフ作成と統計解析の基礎を学ぶ
- 統計解析の基礎については学習サイトや書籍などで学べる
- 自分に身近なデータで「分析レポート」を作ってみる
- Excelのデータなどを読み込んで、分析結果を「Quarto」などの機能でレポートにまとめてみる
独学が難しければ、プログラミングスクールやオンライン講座を利用するのもおすすめです。
講師が直接教えてくれるため分かりやすく、モチベーションも維持しやすいでしょう。
まとめ
R言語は統計解析の専門性と、美しいグラフ作成機能を兼ね備えたプログラミング言語です。
データサイエンス、データ分析、AI開発の分野に携わりたい方は、Pythonに加えてR言語も習得しておくと、キャリアの幅を広げられるでしょう。
もし、「自社サイトのアクセス解析や分析をしたいけど、社内にノウハウがない…」という場合は、プロにお任せするのも手です。
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