「Kotlin」は、Androidアプリ開発の分野で注目を集めているプログラミング言語です。
今回は、そんなKotlinの特徴(メリットやデメリット)、Javaとの違い、基本の文法を、プログラミング入門者向けに解説します!
Kotlinを使ったAndroidアプリ開発を検討している方、Kotlinの知識をもっと深めたい方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
Kotlinとは?
Kotlin(コトリン)とは、チェコのJetBrains社が2011年に開発したプログラミング言語です。
Kotlinは、以前からAndroidアプリ開発で使われていた「Java」という言語を、もっと「使いやすく、安全に」するために作られました。
そんなKotlinのことはGoogleも推しています!
2017年にはAndroidアプリ開発の公式言語として、2019年には推奨言語に認定しました。
これにより、Kotlinの人気は急速に広がったのです。
Kotlinの特徴とメリット
ここからはKotlinの特徴とメリットを紹介します。
Kotlinの特徴とメリット
- Javaと高い互換性がある
- 静的型付け&オブジェクト指向言語
- Googleによるサポートが充実している
- 安全性が高い
- 学習コストがかかりにくい
Javaと高い互換性がある
KotlinはJavaと高い相互性があり、次のメリットが得られます。
- Javaで作ったものをそのまま使える
- すでにJavaで作られているアプリや、ライブラリ・フレームワークを、Kotlinの中からそのまま使える
- JavaのコードをKotlinに自動変換
- すでにあるJavaのソースコードを、開発ツール(IDE)を使ってKotlinのコードに自動で変換できる
- プロジェクトに少しずつ導入できる
- 1つのプロジェクトの中で、JavaのファイルとKotlinのファイルを混ぜて開発(ハイブリッド開発)できる
- 古い部分はJavaのまま残し、新しい機能だけKotlinで書く、といった進め方が可能
単語の意味
ライブラリ:必要な機能(部品)を再利用しやすいようにまとめたもの
フレームワーク:アプリ開発効率化のために用意された「枠組み」
静的型付け&オブジェクト指向言語
Kotlinは、プログラム実行前に変数に入れるデータの種類(型)が決まる、「静的型付け言語」です。
静的型付け言語は、「実行前にバグを早く見つけられる」「動いている途中でエラーが起きるリスクを減らせる」のがメリット!
また、Kotlinはプログラムを「モノ(部品)」の組み立てとして考える、「オブジェクト指向」という考え方で作られた言語です。
オブジェクト指向には、「コードを使い回しやすい」「大規模開発に向いている」などのメリットがありますよ。
Googleによるサポートが充実している
Kotlinは開発元のJetBrains社だけでなく、Googleからも積極的にサポートされています。
- 学習コンテンツが豊富
- Googleが公式にオンライン学習コースなどを用意している
- 開発ツール(Android Studio)の機能も充実
- コードの間違いを指摘してくれる機能(Lintサポート)など、開発を助けてくれる仕組みがたくさん用意されている
安全性が高い
Kotlinには「Null安全性(Null Safety)」という便利な安全機能があります!
Null安全性とは、nullを原因とするエラ-をコードを書いている段階で防ぐ仕組み。
そもそも、プログラミングには「値がない」ことを意味する「null」という特別な値があり、これが原因でアプリが突然止まってしまう原因になることがあります。
Javaではこのエラーが頻繁に起こるのですが、KotlinではNull安全性によりエラーを防げるわけです。
Kotlinでは、基本的に変数にnullを代入することができません。
開発者がnullを意図的に扱いたい場合は、変数名の後ろに「?」マークを付ける必要があります。
var name: String = null
⇒上記だとエラーになる
var nullableName: String? = null
⇒「?」を付けることでnullを代入できる
学習コストがかかりにくい
KotlinはJavaに比べると文法がシンプルで分かりやすいため、プログラミング入門者の方でも学習しやすい言語だと言われています。
コードの書き方(構文)は少し違いますが、基本的な考え方や仕組みはJavaと似ている部分も多いです。
そのため、すでにJavaを扱える方なら、Kotlinも問題なく習得できるでしょう。
先述した通り、GoogleではKotlinのオンライン学習コースやLintサポートを提供しています。
また、公式ドキュメントやコミュニティも充実しているので、学びやすい環境がしっかり整っていますよ。
KotlinとJavaの違い
KotlinはJavaをベースに作られましたが、異なる特徴を持っています。
KotlinとJavaの違いを見ていきましょう。
| 種類 | Kotlin | Java |
|---|---|---|
| コードの量 | 短くシンプルに書ける | 長くなりやすい |
| エラー対策 | エラーが起きにくい工夫がある | NullPointerExceptionというエラーが発生しやすい |
| Androidアプリ開発 | 一番おすすめ (Googleが推奨) | 使われている |
| 新しい機能 | 新しく便利な機能が多い | 昔からあるため機能は古め |
| Javaとの関係 | Javaの進化版 (一緒に使える) | 基本の言語 |
| 得意な開発分野 | Androidアプリ開発やサーバーサイド開発 | 幅広い分野 (基幹システムなど) |
KotlinとJavaの大きな違いは、コードの記述量も少なさ。
Kotlinのほうがより効率良く開発できるようシンプルな文法で設計されています。
- 構文をシンプルにできる
- 行末のセミコロン(;)を省略できる
- 波括弧({})を特定の条件下で省略できる
- 変数の型をコンパイラが自動で判断するため、型宣言を省略できる
- 短いコードで機能を実装できる機能がある
- データを保持するための「データクラス」や、短いコードで複雑な処理を書く「ラムダ式」などの仕組みがある
Kotlinのデメリット
KotlinはJavaのデメリットを改良して作られたため、実はデメリットがほとんどありません。
強いて言うなら、次の2点がデメリットとして挙げられるでしょう。
- Javaに比べると日本語の情報が少ない
- ただし、GoogleがAndroid開発者向けに、日本語の参考資料やオンライン学習コースを提供している
- Androidアプリ開発以外の活用事例が少ない
- 現在はサーバーサイド開発やマルチプラットフォーム開発など、他にも活躍の場を広げている
Kotlinでできること
ここからは、Kotlinを活用してできることをいくつか紹介します。
Kotlinでできること
- Androidアプリ開発
- Webアプリ開発
- サーバーサイド開発
- マルチプラットフォーム開発
Androidアプリ開発
先述した通り、Kotlinの主な用途はAndroidアプリの開発です。
GoogleがAndroidアプリ開発の主要言語(第一推奨言語)と認定してからは、それまで使われていたJavaよりも、Kotlinのほうが多く使われるようになりました。
実際、新しく開発されるAndroidアプリの多くがKotlinで作られています!
ただし例外として、ゲームアプリは「Unity」と呼ばれる開発プラットフォームで作らることが多いです。
そしてUnityでは主に、「C#」 という別の言語が使われます。
よって、Google Playにあるゲーム以外のアプリの大部分は、Kotlinで作られていると考えていいでしょう。
Webアプリ開発
KotlinはAndroidアプリ向けという印象がありますが、Kotlin用のフレームワークを使えば、Webアプリの開発にも活用が可能です!
シンプルに書けてバグやエラーの少ないKotlinは、Web系開発でも作業効率の向上が期待できます。
Javaのライブラリやフレームワークをそのまま使える点も、企業向けのWebアプリ開発が進んでいる理由の1つでしょう。
サーバーサイド開発
現在、サーバーサイド開発で広く使われているのはJavaです。
そんなJavaをベースに作られたKotlinも、「Ktor」や「Spring Boot」などのフレームワークを使えば、このサーバーサイド開発ができます。
サーバーサイドとは、ユーザーには直接見えないサーバー側(裏側)で実行される処理全般のこと。
サーバーサイド開発にKotlinを使うメリットは、エラーが起きにくい点です。
Null安全性などの機能により、動作中にエラーで止まるリスクが減り、安定したシステムが作れます。
実は、Googleもサーバーサイド開発にKotlinの利用をすすめているのです!
Javaと互換性があるため、すでにJavaで作られたシステムへの導入もしやすく、JavaからKotlinへ切り替える企業も増えてきています。
マルチプラットフォーム開発
Kotlinはプラットフォームに依存しない言語なので、マルチプラットフォーム開発にも対応できます。
マルチプラットフォーム開発とは、1つのソースコードで、複数の異なるOSやデバイス上で実行できるアプリを開発する手法。
Kotlinに搭載されている「Kotlin Multiplatform(KMP)」という技術を使うことで、複数のプラットフォームでコードを共有できるようになります。
本来ならAndroid用とiOS用で別々に開発が必要なところを、Kotlinを使えばまとめて対応できるため、開発にかかる時間やコストを大きく減らすことが可能です!
なお、UI(画面のデザインや操作感)は、OSに合わせて個別に開発する必要があります。
Kotlinの将来性
Kotlinは、今後ますますニーズの拡大が期待される言語と言えるでしょう。
- Googleによる強力なサポート
- 世界最大のプラットフォーム運営企業であるGoogleが、積極的に普及を支援しているため、言語の信頼性は抜群
- Javaからの移行のしやすさ
- 既存のJavaアプリを少しずつKotlinに置き換えられるため、多くの企業が導入しやすい環境が整っている
- 学びやすさと市場の拡大
- シンプルで学びやすく、Android開発だけでなく、サーバーサイド開発など市場が拡大中
- Javaより便利
- Javaよりデメリットが少なく、開発効率が上がる
Kotlinは主にAndroidアプリ開発に使われますが、世界中でAndroidユーザーは増え続けています。
それに伴い、Androidアプリ開発の需要も高まるため、Kotlinの将来性も見込めるでしょう。
日本でも、Androidアプリ開発にはKotlinが主流になりつつあります。
Googleが公式に推奨していることもあり、今後さらにKotlinの採用事例は増えていく可能性が高いです!
Kotlinの基本文法
Kotlinを使ってプログラミングを行うには、基本的な文法を押さえておく必要があります。
ここからは、入門者が知っておきたいKotlinの基本文法をご紹介します!
変数宣言
Kotlinでは、「val」と「var」の2つのキーワードを使って変数を宣言します。
「val」の基本構文
val 変数名: 型 = 値
「var」の基本構文
var 変数名: 型 = 初期値
valとvarは、変数の値を後から変更する必要があるかどうかによって使い分けます。
- val
- 一度代入した変数に、別の値を再代入しない場合に使う
- 宣言した変数に、後から別の値を再代入できない
- var
- 後から別の値を再代入する可能性がある場合に使う
- 変数に別の値を再代入できる
基本的には、再代入する必要がない変数にはvalを使い、必要に応じてvarを使います。
なお、Kotlinでは初期値から型を推測できる場合、変数の型を明記する必要がありません。
これは、コンパイラが変数の型を自動的に判断する「型推論」という機能があるためです。
型推論の例
val name = "Alice"
この場合、コンパイラが初期値の"Alice"から、nameをString型として推論します。
基本的なデータ型
Kotlinには、さまざまなデータ型があります。代表的なものは次の通りです。
| データ型の種類 | 型の名前 | 格納できる値 |
|---|---|---|
| 文字・文字列 | String、Char | 文字や文章 |
| 数値 | Int、Long、Double、Floatなど | 整数や小数 |
| 真偽値 | Boolean | true(真)またはfalse(偽) |
Stringは文字列、Charは1文字を表す型です。
また、数値型には整数を扱うIntやLong、小数を扱うDoubleやFloatなどがあり、扱う数値の種類や範囲に応じて使い分けます。
関数宣言
Kotlinでは、関数を宣言するときに「fun」キーワードを使います。
Kotlinでは、関数の戻り値の型を関数名の後ろに記述するのが特徴です。
関数宣言の基本構文
fun 関数名(引数名: 引数型): 戻り値の型 {
実行する処理
return 戻り値
}
戻り値の型がUnitの場合は、省略できます。
たとえば、次のような関数では、戻り値の型を記述していません。
fun greet() {
println("Hello")
}
このように、処理を実行するだけで戻り値の型を明示する必要がない場合は、Unitを省略することが一般的です。
また、関数の引数には、値が渡されなかった場合に使用する「デフォルト値」を指定することもできます。
fun greet(name: String = "Alice") {
println(name)
}
この場合、nameを指定せずに関数を呼び出すと、デフォルト値として"Alice"が使用されます。
単語の意味
- 引数
- 戻り値
条件分岐
Kotlinでは、条件によって処理を分ける際に「if文」を使います。
if文の基本構文
if (条件式) {
// 条件を満たしたときの処理
}
条件式がtrueの場合に、波括弧{}内の処理が実行されます。
処理が1行で済む場合は、波括弧{}を省略することもできます。
条件を満たさなかった場合の処理を設定するときは、「else」を使います。
if (条件式) {
// 条件を満たしたときの処理
} else {
// 条件を満たさなかったときの処理
}
複数の条件分岐を設定したい場合は、「if」の後に「else if」を追加します。
if (条件A) {
// 条件Aを満たしたときの処理
} else if (条件B) {
// 条件Aは満たさなかったが、条件Bを満たしたときの処理
} else {
// 条件Aも条件Bも満たさなかったときの処理
}
なお、Kotlinには、Javaなどにある「switch文」はありません。
その代わりに、「when」を使って複数の条件に応じた処理を記述できます。
when文の基本構文
when (判定したい変数や値) {
値1 -> {
値1と一致した場合の処理
}
値2 -> {
値2と一致した場合の処理
}
else -> {
どの条件にも一致しなかった場合の処理
}
}
whenでは、矢印(->)の左側に一致させたい値や条件、右側に実行する処理を記述します。
どの条件にも一致しない場合の処理は、elseを使って指定できます。
繰り返し
繰り返し(ループ)とは、同じ処理を複数回繰り返し実行するための構文です。
Kotlinの繰り返しには、主にfor文、while文、do-while文の3種類があります。
まずfor文は、リストなどのコレクションから要素を順番に取り出したり、特定の範囲の値を繰り返し処理したりする際に使います。
for文の基本構文
for (変数 in 範囲やコレクション) {
// 繰り返し実行する処理
}
while文は、条件式がtrueである間、処理を繰り返す構文です。
while文の基本構文
while (条件式) {
// 条件を満たしている間、繰り返す処理
}
do-while文は、まず処理を1回実行してから条件をチェックします。
そのため、条件にかかわらず、処理は最低1回実行されます。
do-while文の基本構文
do {
// 繰り返し実行する処理
} while (条件式)
Kotlinの学習方法
Kotlinを学ぶには、大きく分けて「独学」と「プログラミングスクールに通う」方法の2つがあります。
| 学習方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 入門書や学習サイトで学ぶ | 学習コストが低い自分のペースで勉強できる | 疑問は自分で解決する必要があるモチベーションを維持しにくい |
| オンライン講座やスクールで学ぶ | マンツーマンで教われる分からないことを講師にすぐ聞ける | 数万円~数十万円ほどの費用がかかるスクールは通う手間がかかる |
ある程度Kotlinの基本文法を学んだら、実際に手を動かして簡単なプログラムを作るのが早く習得するコツですよ!
まとめ
最後にKotlinについておさらいしましょう。
- KotlinはJavaを改良して作られた
- Javaと高い互換性がある
- Java経験者ならKotlinも習得しやすい
- シンプルなコードと安全性の高さが特徴
- GoogleにAndroidアプリ開発の主要言語として認定
- サーバーサイド開発やマルチプラットフォーム開発など用途は拡大中
- Googleの強力なサポートもあり、将来性が期待できる
もし、Androidアプリ開発やWebシステム開発のノウハウや人材が社内にない場合は、外注も検討してみてくださいね。
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