システム開発には、さまざまな手法があります。
手法によって開発の進め方・期間・コスト・品質などが変わってくるので、開発プロジェクトに適したものを選ばなければなりません。
しかし、「そもそも、どんな開発手法があるのか知らない…」「どの開発手法を選べばいいかわからない…」という人も多いでしょう。
そこで本記事では、代表的なシステム開発手法の特徴やメリット・デメリットに加え、それぞれに適した開発プロジェクトを紹介します。
システム開発手法について詳しく知りたい方や、システム開発を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
代表的なシステム開発手法一覧
今回は代表的なシステム開発手法5種類を紹介します。
それぞれの特徴を一覧にしたので見てみましょう。
| システム開発手法 | 概要 | 向いているケース |
|---|---|---|
| ウォーターフォール型 | 要件定義を明確にして、工程を1つずつ順番に進める | 大規模なプロジェクト 要件や仕様が確定している場合 仕様変更や機能追加の可能性が低い場合 品質を重視する場合 |
| アジャイル型 | 機能ごとに「企画⇒設計⇒実装⇒テスト⇒リリース」のサイクルを繰り返して完成を目指す | 柔軟な対応が求められる場合 要件や仕様が固まりにくい場合 中小規模のプロジェクト ユーザーファーストが求められる場合 スピードを重視する場合 |
| プロトタイプ型 | 早い段階で試作品を作って完成に近づける | 完成形のイメージがあいまいな場合 発注側がシステム開発の依頼に慣れていない場合 新サービスのシステム開発 UIやUXが重視されるプロジェクト 中小規模のプロジェクト |
| スパイラル型 | 機能ごとに設計⇒実装⇒テストの工程を繰り返し、システム完成後にリリースする | 品質を重視する場合 仕様や完成形のイメージがあいまいな場合 仕様変更の可能性がある場合 クライアントがシステム開発の発注に慣れていない場合 |
| DevOps(デブオプス) | 開発と運営がチームで連携を取り、柔軟かつ迅速に開発する | クロスフィールドなチームが必要なプロジェクト リリース後の安定した運用が難しい場合 継続的な改善が求められる場合 開発速度と品質の両立が求められる場合 開発作業の効率化が求められる場合 |
ちなみに、上記以外にも独自の開発手法を採用するケースも珍しくありません。
それでは、それぞれの開発手法について詳しく見ていきましょう。
ウォーターフォール型開発

ウォーターフォール型は、「要件定義 ⇒ 企画 ⇒ 設計 ⇒ 開発 ⇒ テスト」の工程を1つずつ進めていく手法。
1つの工程が完全に終わったら次の工程に進み、手戻り(=前の工程に戻ること)は想定されていません。
そのため、要件定義の工程で仕様を明確にして計画通りに進めていく必要があります。
ちなみに、ウォーターフォール(Water Fall)は「滝」という意味。
上から下へ水が落ちるように、上流工程から下流工程へと流れにそって開発が進むことから、「ウォーターフォール型開発」と名付けられました。
なお、上流工程とは要件定義や設計のことで、下流工程とは開発やテストのこと。
そんなウォーターフォール型は、システム開発では伝統的かつ定番の開発手法でもあります。
ウォーターフォール型のメリット
ウォーターフォール型開発は、工程を順序立てて進める伝統的な手法で、計画性と管理のしやすさが特徴です。各工程が完了してから次に進むため、開発全体の進捗やリソースを把握しやすく、品質や予算管理にも優れています。
主なメリットは以下のとおりです。
- 進捗管理やスケジュールが立てやすい
- 工程ごとに作業が完了してから次に進むため、全体の進捗や納期を把握しやすい。
- 品質管理がしやすい
- 各工程でミスや不具合を確認できるため、修正の規模を抑えられ、安定した品質のシステムを作りやすい。
- 要件定義が明確でタスク管理が容易
- 初期段階で仕様を確定するため、各工程のタスクや必要な人員・予算が明確になり、リソース管理が簡単。
- 発注側も予算やスケジュールを把握しやすく、安心してプロジェクトを進められる。
- 経験者や専門人材を確保しやすい
- 定番の手法であるため、過去の経験者が多く、専門性の高い人材を活用しやすい。
- どんなプロジェクトにも対応可能
- 要件定義がしっかりしていれば、小規模から大規模まで幅広いプロジェクトに適用可能。
このようにウォーターフォール型は、計画的で安定した開発を重視するプロジェクトに最適な手法です。特に、仕様が明確で変更が少ないシステム開発に向いています。
ウォーターフォール型のデメリット
ウォーターフォール型開発は、計画性や管理のしやすさが魅力ですが、柔軟性に欠ける面や工数増加のリスクがある点に注意が必要です。
主なデメリットは以下の通りです。
- 開発期間が長くなりやすい
- 要件定義や設計を詳細に行うため、開発開始から完成までに時間がかかることが多い。
- 1つの工程が遅れると、全体のスケジュールや納期に影響が出やすい。
- 仕様変更や修正に対応しにくい
- 開発途中で変更が発生すると、前工程から見直す必要があり、工数が増加する。
- 特に仕様変更や修正のタイミングが遅いほど、手戻りが大きくなり、納期やコストに影響する。
- ユーザーやクライアントの意見を反映しにくい
- すべての工程が完了してからリリースするため、途中でフィードバックを取り入れにくい
- そのため、使い勝手の悪いシステムにならないよう、要件定義段階で発注側と十分に話し合い、仕様を固めることが重要。
このようにウォーターフォール型は、計画通りに進めやすい一方で、途中の変更や柔軟な調整が難しい手法です。プロジェクトの特性や要件の確定度に応じて、アジャイル型などの柔軟な手法と比較しながら選択することが大切です。
ウォーターフォール型が適しているケース
ウォーターフォール型開発は、計画性や管理のしやすさを重視するプロジェクトに最適な手法です。各工程を順序立てて進めるため、進捗やリソースを把握しやすく、安定したシステム開発が可能です。
特に適しているケースは以下の通りです。
- 大規模プロジェクトや複雑なシステム開発
- 銀行システムや公的機関向けシステム、企業内の経理システム、インフラ構築など、確実性が求められる開発に向いている。
- 要件が明確で変更が少ないプロジェクト
- 必要な機能や仕様があらかじめ決まっており、途中での仕様変更や機能追加が少ない場合、効率よく開発を進められる。
- 品質を重視するプロジェクト
- 工程ごとに不具合やミスをチェックしながら開発を進められるため、高品質なシステムを安定して構築できる。
ウォーターフォール型は、計画通りに進めることが可能で、安定性・確実性を重視する開発に最適です。特に、変更が少なく品質が重要なプロジェクトでは、そのメリットを最大限に活かすことができます。
アジャイル型開発

アジャイル型は、「計画 ⇒ 設計 ⇒ 実装 ⇒ テスト ⇒ リリース」のサイクルを機能ごとに繰り返し、完成した各機能の集合体として1つのシステムを形成する開発手法。
機能は2〜3週間ほどで実装できる規模で分割し、優先度の高い機能から上記のサイクルを実施します。
そして、機能が完成したらその都度リリースして発注側のフィードバックをもらい、それをもとにブラッシュアップしていくのです。
アジャイル型は、途中で仕様変更や機能を追加することを前提としているため、開発の方向性を7〜8割程度決めたら、残りの2〜3割は開発を進めながら決めていきます。
ちなみに、アジャイル(agile)とは「素早い」「俊敏な」という意味で、その名の通りスピードを重視したシステム開発が可能です。
アジャイル型のメリット
アジャイル型開発の最大の特徴は、スピード感と柔軟性を両立できる点にあります。最初に全体の方向性をざっくりと決めれば開発を始められ、状況に応じて軌道修正しながら進められるため、変化の多い現場にも対応しやすい手法です。
主なメリットは以下のとおりです。
- スピーディーに開発を進められる
- 詳細な仕様をすべて決める前に開発を始められるため、スタートが早く、修正時の手戻りも少ない。
- フィードバックをもとに改善できる
- 各機能が完成するたびに発注側がチェックするため、意見を反映しながら開発を効率的に進められる。
- 不具合を早期に発見できる
- 頻繁な確認サイクルによって、ミスや問題を早い段階で修正でき、完成度の高いシステムを実現しやすい。
- 柔軟に仕様変更・追加に対応できる
- 開発途中でも発注者の要望や市場の変化に合わせて、方向性を柔軟に調整できる。
- チームや開発者の成長につながる
- 各工程を繰り返す中で、開発スキルやチーム連携力が向上し、プロセス全体の改善にもつながる。
このようにアジャイル型は、スピード・品質・柔軟性のバランスを取りやすい開発スタイルです。特に、ユーザーの声を重視したいプロジェクトや、市場変化に即応したいケースに最適といえるでしょう。
アジャイル型のデメリット
アジャイル型開発は柔軟な対応ができる反面、進行管理が難しくなるというデメリットもあります。短期間で開発と修正を繰り返す特性上、明確なゴール設定や適切な調整力が求められる手法です。
主なデメリットは以下のとおりです。
- スケジュールやコストが管理しにくい
- 仕様変更や機能追加が頻発するため、完成までの期間や予算を正確に見積もるのが難しい。
- 管理がうまくいかないと、納期の遅れや修正コストの増加につながるリスクも。
- 完成形のイメージが掴みにくい
- 初期段階では詳細な計画を立てずに作業に入るため、関係者が「最終的にどんなシステムになるか」を想像しづらい。
- 方向性が途中でブレるケースも少なくありません。
- 機能ごとの品質にムラが出る
- 機能単位で開発を進めるため、クオリティに差が出たり、システム全体の整合性にズレが生じる可能性がある。
- 発注側の協力が不可欠
- アジャイル型の強みは「こまめなフィードバック」ですが、発注担当者が開発に関わる時間を確保できなければ、その効果を発揮しにくい。
- 要望を聞きすぎるリスク
- 開発側が顧客の要望をすべて反映しようとすると、かえって使いにくいシステムになる恐れがある。
このように、アジャイル型開発は柔軟性とスピードの裏に、管理の難しさや方向性のブレといった課題を抱えています。プロジェクトを成功させるには、発注側と開発側の信頼関係と綿密なコミュニケーションが不可欠です。
アジャイル型が適しているケース
アジャイル型開発は、柔軟性とスピードを重視した開発手法で、変化が多い現代のITプロジェクトに広く採用されています。
従来のように最初からすべての仕様を固めて進めるのではなく、小さな単位で開発・検証・改善を繰り返すことから、次のようなプロジェクトに適しています。
- 市場ニーズやトレンドに左右されやすいプロジェクト
- 開発途中でも仕様変更や機能追加を柔軟に行えるため、変化に強い。
- 前例のない新規システムの開発
- 要件や仕様が初期段階で固まりにくい場合でも、実際に動くものを確認しながら方向性を定められる。
- 中小規模のプロジェクト
- チーム内でのコミュニケーションが密に取れるため、スピーディーに改善を重ねられる。
- ユーザーファーストを重視する開発
- 発注側やユーザーの意見をこまめに反映でき、満足度の高いシステムを作りやすい。
- スピードが求められるスタートアップ企業の開発
- 短期間で成果物をリリースできるため、サービスの早期検証や市場投入が可能。
アジャイル型は、柔軟な対応力・顧客との密な連携・迅速なリリースを実現できる点が最大の魅力です。
一方で、進行管理が難しくなったり、方向性のブレが生じやすいという課題もありますが、変化の激しいビジネス環境においては、非常に有効な開発スタイルといえるでしょう。
プロトタイプ型開発

プロトタイプ型は「プロトタイピング型開発」とも呼ばれ、早い段階でシステムの試作品(プロトタイプ:Prototype)を作り、発注側のチェックをもとに改善しながら完成を目指す開発手法。
開発工程としては、「要件定義 ⇒ 試作品の作成 ⇒ テスト&チェック ⇒ 試作品の修正 ⇒ 本開発 ⇒ リリース」という流れが基本です。
そんなプロトタイプ型は、ウォーターフォール型を改良してできた開発手法でもあります。
要件定義からリリースまで一気通貫で進めるところはウォーターフォール型と同じですが、試作品を作る工程が入るのが大きな違いと言えるでしょう。
なお、試作品を作るのは要件定義を明確にするためです。
プロトタイプ型では設計なども厳密に行わず、こまかい仕様はレビューやフィードバックをもとに決めます。
プロトタイプ型のメリット
プロトタイプ型開発は、早い段階で試作品(プロトタイプ)を作り、完成形のイメージを共有しながら進めるため、開発の効率化や柔軟な対応が可能になります。
主なメリットは以下のとおりです。
- 完成形のイメージを早期に共有できる
- 試作品を用いることで関係者間の認識のずれを防ぎ、完成後の大幅なやり直しを減らせる。
- 開発工数と作業効率の向上
- 初期段階で具体案が固まっていなくても、少しずつ仕様を決めながら進められるため、工数削減や効率アップにつながる。
- スケジュール遅延や予算オーバーを防ぎやすい
- 早期に問題点を発見できるため、修正の規模を抑え、予定通りの開発を進めやすい。
- 発注側の要望を反映しやすい
- 試作品完成後すぐにチェックを行えるため、要望や改善点をタイムリーに反映できる。
- 仕様変更や機能追加に柔軟に対応可能
- フィードバックを受けながら修正していけるため、開発途中の変更にも強い。
プロトタイプ型は、完成形が見えにくいプロジェクトや新規システム開発で特に有効な手法です。関係者間でイメージを共有しながら進めることで、効率的かつ柔軟な開発が実現できます。
プロトタイプ型のデメリット
プロトタイプ型では試作品にこだわりすぎると、完成までに時間とコストがかかります。
とくに試作品を作り直す場合や、試作品のチェックや修正に時間がかかる場合は、スケジュールやコスト管理が難しくなるでしょう。
また、試作品が完成してから修正を加えていくため、工数とコストの見積もりが難しい点にも注意。
プロトタイプ型は柔軟に対応できるぶん、発注側の要望が増える傾向にあります。
しかし、仕様変更や機能の追加があれば作業量も増えるため、開発側にとっては大きな負担となるでしょう。
さらに、仕様が決まるまでは試作品のチェックを繰り返すため、場合によっては発注者側にも負担が生じます。
プロトタイプ型が適しているケース
プロトタイプ型は試作品で完成イメージを具体化できるので、初期段階でシステムの仕様が決まっていない場合や、発注側がシステム開発の依頼に慣れていない場合に適しているでしょう。
また、仕様変更や機能追加にも柔軟に対応できるため、前例がなく仕様や要件がブレやすい新規事業・新サービスのシステム開発や、市場の変化が激しいWebサービスやゲームアプリなどのシステム開発などにもおすすめ。
また、試作品のチェック時にレビューやフィードバックをもらえるため、システムの操作感や使用感などが重視されるプロジェクトにも向いています。
それから、プロトタイプ型では試作品の作成に時間や費用がかかるため、全体のスケジュールや予算が調整しやすい中小規模のプロジェクトと相性がいいでしょう。
スパイラル型開発

スパイラル型は、要件定義を決めたらシステムを機能単位に分割し、重要度の高い機能から「設計 ⇒ 実装 ⇒ テスト」の工程を繰り返す手法。
なお、スパイラル(Spiral)は「らせん」を意味し、小さな開発工程を何度も繰り返す様子がらせんに似ていることから名付けられました。
早い段階で機能ごとに試作品を作り、発注側のチェックを受けて品質を上げていくのも特徴。
開発の進め方はアジャイル型と似ていますが、評価段階での品質やリリースのタイミングが異なります。
アジャイル型は機能の品質がある程度保証された状態で評価を受けます。
一方スパイラル型は、機能の要件定義を決めたらすぐに試作品を作り、品質が保証されていない段階で評価してもらうのです。
スパイラル型の評価段階では試作品の動作だけ確認し、品質は評価後に上げていくのが基本になります。
また、アジャイル型は機能ごとにリリースしますが、スパイラル型はシステム全体の完成後にリリースするのが特徴です。
スパイラル型のメリット
スパイラル型は機能単位で進めていき、機能の試作品が完成するたびに評価してもらうため、ミスや不具合を早期に発見できます。
発注側のフィードバックがこまめに入ることで、効率よく開発を進められるでしょう。
初期段階で完成形のイメージがあいまいだったとしても、試作品によりイメージを共有しやすくなり、関係者間で認識のずれを防げます。
また、スパイラル型はすぐに開発を始められ、開発サイクルも短期間で行うためスピーディーな納品が可能です。
さらに、前工程での作業が後工程に影響を与えにくいため、修正時の手戻りも少なくて済みます。
要望・仕様変更・機能追加などにも柔軟に対応でき、ユーザー満足度の高いシステムを提供できるでしょう。
スパイラル型のデメリット
スパイラル型は機能ごとに開発・改良を繰り返すため、全体のスケジュールやコストの見通しが立てにくく、管理が複雑になる場合があります。
とくに機能数が多ければ、時間やコストが増大するリスクも高まるでしょう。
それから、完成形のイメージが固まっていないうちに発注側の要望に答えていると、想定していたシステムからかけ離れたものができあがってしまう恐れもあります。
要望や仕様変更などに柔軟に対応できるのがスパイラル型の魅力ですが、仕様変更や機能の追加が多くなれば作業量も増え、開発側の負担が大きくなることも忘れずに。
さらに、仕様変更を繰り返していく中で構想がブレたり、ユーザーが使いにくいシステムになることもあるので要注意です。
スパイラル型が適しているケース
スパイラル型は開発途中でテストや評価を繰り返すため、品質重視のプロジェクトに適しています。
また、柔軟な対応が可能なスパイラル型は、初期段階で仕様や完成形のイメージが固まっていない場合や、途中で仕様変更や機能の追加が生じる可能性の高いプロジェクトにも向いているでしょう。
たとえば、流行に左右されやすいWebサービス・アプリのシステム開発や、前例がなく仕様を決めにくい新規事業・サービスのシステム開発にもおすすめです。
それから、早い段階で試作品を共有でき、密にコミュニケーションを取って完成形を目指すスパイラル型は、発注者がシステム開発に慣れていない場合にも適しているでしょう。
DevOps
DevOpsは開発チームと運用チームが密に連携して、柔軟かつスピーディーに開発する手法。
開発チームはシステムの品質の向上を目指し、運用チームはリリース後の安定稼働を想定をしつつ、フィードバックを提案します。
なお、DevOps(デブオプス)とは、Development(開発)とOperations(運用)を組み合わせた造語。
開発手法というよりも、企業としての考え方や組織的な面を含めた幅広い概念を指す単語と言えるでしょう。
従来のシステム開発現場では、開発チームと運用チームはそれぞれ別で作業を進めることが多く、目的が異なることもあり意見が対立することもしばしば。
そこで「両チームが一体となり、積極的に協力して開発を円滑に進めていく」という考え方がDevOpsなのです。
DevOpsでは反復作業を効率化するために、各工程で自動化ツールを利用するのも特徴。
DevOpsのメリット
DevOpsでは開発チームと運用チームが協力することで、互いの目的を満たしながら開発を進められるため、意見の対立から生まれる余分な工数を減らして、リリースまでの期間を短くできます。
運用チームからはリリース後を想定した提案やアドバイスをもらえるので、システムの質を効率良く高められるでしょう。
開発チームと運用チームが連携することで、システムの機能性とリリース後の安定稼働を両立することも可能。
また、連携により新機能の追加や修正もスムーズになるので、発注側の要望やトレンドなどにも対応できるでしょう。
DevOpsでは自動化ツールをたくさん利用するため、各工程の効率化や人的エラーを減らせるだけでなく、人的リソースに余裕が生まれるのもメリットです。
DevOpsのデメリット
DevOpsでは改修をひんぱんに行うため、全体の規模やスケジュール感を把握しづらいです。
また、開発チームと運用チームの連携がうまくいかなかったり、どちらか一方で不具合やミスが起きてしまうと、全体の進捗やシステムの品質に大きな影響が出てしまう恐れも。
よって、部門間に壁があったり、新しい概念を受け入れることに抵抗があったりする現場では、DevOpsの導入が難しく長所を十分に発揮できません。
導入には企業や組織全体でDevOpsの文化を受け入れる必要がありますが、変革には時間がかかる場合もあるでしょう。
それから、自動化ツールの導入には初期コストがかかり、導入するツールが多ければ管理も大変になります。
DevOpsが適しているケース
DevOpsは開発チームと運用チームが連携しながら進めていくため、クロスフィールドなチームが必要なプロジェクトやリリース後の安定した運用が難しいプロジェクトにもおすすめ。
仕様変更や修正にも柔軟に対応できるため、流行に左右されやすいWebサービスやアプリのシステム開発など、継続的な改善が求められるプロジェクトと相性がいいでしょう。
また、システム全体の品質向上や効率化が求められる場合や、開発速度と品質を両立させることが求められるプロジェクトにも適しています。
さらに、DevOpsでは自動化ツールを使うため、開発作業の効率化が求められる場合にも向いています。
システム開発手法のトレンドは「DevSecOps」

ここまで各手法について紹介してきましたが、近年のシステム開発において注目されているのが、「DevOps」にセキュリティの考え方を組み込んだ「DevSecOps」です。
DevSecOpsとは、開発(Development)と運用(Operations)に加え、セキュリティ(Security)を開発プロセス全体に統合する考え方を指します。従来は、開発が完了した後にセキュリティチェックを実施するケースが一般的でしたが、この方法では脆弱性の発見が遅れ、修正コストの増大やリリース遅延につながるという課題がありました。
ここで重要なのは、ウォーターフォールやアジャイル、スパイラルといった従来の開発手法との違いです。これらの手法は「どのように開発を進めるか」というプロセス設計に主眼が置かれており、セキュリティをどのタイミングでどのように組み込むかまでは十分にカバーしていませんでした。そのため、開発スピードが重視される現代においては、セキュリティ対応が後回しになるリスクが生じやすいという側面があります。
一方でDevSecOpsは、これらの開発手法と対立するものではなく、「セキュリティを前提とした開発体制を構築する」という考え方です。アジャイル開発や継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)と組み合わせることで、スピードを維持しながら安全性も確保することが可能になります。
こうした考え方が求められる背景には、現代の開発環境の変化があります。クラウドの普及によりリリースサイクルは短期化し、日単位での機能追加や改善が行われるようになりました。また、サイバー攻撃は高度化・常態化しており、リリース後に問題が発覚してから対応するのでは手遅れになるケースも増えています。さらに、API連携やマイクロサービス化によってシステム構成は複雑化し、人手によるセキュリティチェックだけでは対応しきれなくなっています。
このような状況において、DevSecOpsは「セキュリティを後付けするのではなく、最初から組み込む」というアプローチを取ります。設計・開発・テスト・運用のすべての工程で継続的にセキュリティ対策を実施することで、脆弱性の早期発見と迅速な対応が可能になります。結果として、手戻りの削減や修正コストの低減にもつながります。
さらに、DevSecOpsの実現には自動化が重要な役割を果たします。ソースコードの静的解析(SAST)や動的解析(DAST)といったセキュリティテストをCI/CDパイプラインに組み込むことで、開発スピードを落とすことなく継続的なチェックを実施できます。これにより、「スピード」と「安全性」を両立した開発体制が実現されます。
また、DevSecOpsは単なるツール導入ではなく、開発チームと運用チーム、さらにはセキュリティ担当者が連携し、組織全体でセキュリティ意識を共有する文化づくりも含まれます。このような体制を整えることで、継続的かつ安定したサービス提供が可能になります。
このように、DevSecOpsが主流になりつつあるのは、「開発スピードを維持しながら、セキュリティも妥協しない」という現代の要求に応えられるためです。従来の開発手法が「どう作るか」を定義するのに対し、DevSecOpsは「どう安全に作り続けるか」を実現するアプローチとして、今後ますます重要性が高まっていくと考えられます。
システム開発手法を選ぶ際は「特徴」を知るのが大切
トラブルを回避してスムーズに開発を進めるためには、プロジェクトの規模や要件、自社の開発環境にあったシステム開発手法を選ぶ必要があります。
そこで、まずは各手法の特徴を知ることが重要です。
これは開発側だけでなく、発注側にも言えること。
発注側にシステム開発の専門知識は不要ですが、各手法の大まかな特徴や作業の進め方などは頭に入れておいたほうがいいでしょう。
各手法のメリット&デメリットよりも、開発したいシステムとの相性を考えることが重要です。
また、開発スピード・品質・コストなど、何を重視するかによっても選ぶべき開発手法は異なります。
今回紹介したシステム開発手法の特徴については、「代表的なシステム開発手法一覧」をチェックしてみてください。
開発手法ごとに発注側の対応も異なる点に注意
開発手法ごとに発注側の取るべき対応も異なります。
たとえば、開発途中の仕様変更が難しいウォーターフォール型では、最初の段階で開発側と綿密なコミュニケーションを取り、要件定義を明確にする必要があります。
試作品のチェックをひんぱんに行うプロトタイプ型やスパイラル型では、的確な意見や要望を伝えるために、開発工程の流れや開発手法の特徴、相手の立場などを理解しておいたほうがいいでしょう。
つまり、「プロにすべて任せておけば成功するだろう」と丸投げせず、発注側も開発に積極的に協力する必要があるのです。
また、「短期間&低コストで質の高いシステムを確実に開発してほしい」とか「納期の延期や予算は絶対に変更できないけど、仕様変更や機能を追加してほしい」といった、無茶な要求はNGなので注意。
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まとめ
最後に、今回紹介したシステム開発手法の特徴をおさらいしましょう。
- ウォーターフォール型…要件定義を明確にして、工程を1つずつ順番に進める
- アジャイル型…機能ごとに企画⇒設計⇒実装⇒テスト⇒リリースのサイクルを繰り返して完成を目指す
- プロトタイプ型…早い段階で試作品を作って完成に近づける
- スパイラル型…機能ごとに設計⇒実装⇒テストの工程を繰り返し、システム完成後にリリースする
- DevOps(デブオプス)…開発と運営がチームで連携を取り、柔軟かつ迅速に開発する
最適なシステム開発手法を選ぶためにも、各手法の特徴や作業の進め方はしっかり把握しておきましょう。
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